快速エアポートは全て6両へ JR北海道札幌都市圏ダイヤ改正(2016年3月26日)

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JR北海道は18日、2016年3月26日にダイヤ改正すると公表した( http://diagramstudygroup.seesaa.net/ )。今回は札幌都市圏において快速「エアポート」の全列車6両化と特急「スーパーカムイ」の新千歳空港乗り入れ中止などを見ていく。

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1. 快速エアポートもついに6両固定へ

今回のダイヤ改正で特急「スーパーカムイ」は快速「エアポート」との直通運転を中止し、札幌で系統分割される。快速「エアポート」は新千歳空港から札幌や小樽などを結ぶ快速列車で、千歳線内も函館線内も主要な都市を回るため終日にわたり空港以外の利用客が多数を占める。車両には721系や733系が使用されており、「エアポート」用に6両編成となっている。現在は785系や789系などの特急「スーパーカムイ」に使用される車両も直通の都合上利用されており、こちらは短い5両となっている。特急「スーパーカムイ」は札幌~旭川間で運行される都市間特急で、札幌と旭川では発着時間が揃うなど利便性をかなり高くしている。現状この快速「エアポート」と特急「スーパーカムイ」が直通運転をしているが、これが2016年3月26日よりなくなることになる。今回はこれについて考察していく。




1.1. 特急の空港乗り入れの歴史をさかのぼる

1980年、千歳線に千歳空港駅(当時)が設置された。この際に特急「ライラック」(当時)が苫小牧~千歳空港~札幌~旭川間で運行を開始する。1992年に新千歳空港のターミナルが完成すると、千歳空港駅は南千歳へ駅名を変更し、特急「ライラック」「スーパーホワイトアロー」は運行区間を札幌~旭川間に限定され、特急「ライラック」が快速「エアポート」と直通運転するようになった。2002年には特急「スーパーホワイトアロー」との直通に代わり( http://web.archive.org/web/20020323181754/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2001/143daikai.html )、2007年に名称が特急「スーパーカムイ」に変えられた。ここまで様々な変遷をたどってきたが、特急列車の新旧千歳空港への乗り入れは約35年半続いていたことになる。この運転は国鉄時代から続いていたものであり、今回のダイヤ改正でその長い歴史を閉じることとなる。

1.2. 新千歳空港は「世界一」

とはいえ新千歳空港は遠方から札幌にアクセスするのに必要な空港である。羽田~新千歳間の旅客輸送量は世界一で、これを上回る路線世界中にない。国鉄分割民営化後に発足したJR北海道は、これまで本州からの鉄道連絡船が来る関係で函館主体の特急列車網であったが、当時盛岡までしかない新幹線から乗り継ぐのは時間がかかり、千歳空港(当時)の尋常ではない旅客量により札幌主体の特急列車網が作られ、特急「ライラック」も千歳空港直通増強を図ることとなった。

しかしJR北海道にも北海道新幹線というビッグイベントがある。今回のダイヤ改正で北海道新幹線が新函館北斗まで延伸し札幌までの所要時間が短縮され、札幌から東京への日帰り旅行が可能になる。。さらに札幌まで伸びれば鉄道利用での東京からの所要時間がさらに短縮される。こうなれば飛行機からある一定の需要は奪えるはずでたとえ飛行機に勝てなかったとしても、世界一の需要から5%奪えるだけでもかなりの輸送量がある。こうなればJR北海道としても新幹線を利用して欲しいわけで、快速列車に特急車両を使う乗り得列車や旭川直通にして新千歳空港からの利用を勧めて新幹線の利用者を逃したくはないはずである。また特急用車両は製造、保守に普通列車と比べて費用がかかり、資金的に切り詰めなければならないJR北海道からするとやはり近郊電車にして切り詰めなければならない。近郊電車化によるドア数の増加と5両から6両への増結も相俟ってに今回のダイヤ改正で快速「エアポート」と特急「スーパーカムイ」の直通運転が中止になるのではないだろうか?

1.3. 遅延が多い北海道事情

北海道で冬に多いのが、雪による遅延である。1日2往復しか走らないで走る特急「スーパー宗谷」が30分遅れたところで遅延による損害は限定的だが、特急「スーパーカムイ」が10分遅れただけで快速「エアポート」二も響き、15分間隔で運行していることから10分遅れると混雑が5両編成の特急型車両に集中してしまうのである。2013年に特急列車の最高速度が引き下げられたため冬季の着雪による120km/hによる運行による慢性的な遅延は減ったが、やはり系統分割すれば遅延が抑えられることは間違いない。千歳線では特急「スーパー北斗」の増発により運行本数が増えることから、定時輸送により努める必要があると判断したのではなかろうか?




2. 札幌都市圏の普通列車でも輸送力増強

今回のダイヤ改正では気動車による普通列車は79本見直しとなっているが、札幌都市圏の普通電車ではラッシュ時の輸送力強化が図られている。

千歳線では先述の快速「エアポート」は特急「スーパーカムイ」との直通運転を中止することにより、日中および夕ラッシュ時に運行されていた5両2ドア車両がなくなり、すべての快速「エアポート」がuシート以外は3ドア、全て6両編成での運行となる。夕ラッシュ時の普通列車は減便されるが、原則6両での運行となる。また札幌発千歳行き終電の1本前に千歳行きを増発する。

函館本線小樽方面では札幌19時50分以降に発車する列車をホームライナー1本を除き全て普通列車とし、快速「エアポート」や区間快速「いしかりライナー」としての運行をとりやめる。2本ほど削減しているが、輸送力としては増結でカバーしている。

函館本線岩見沢方面では朝ラッシュ時の江別発札幌行きの1本増発と札幌発岩見沢行き終電の1本前の江別行きが岩見沢行きに延長される。

学園都市線では朝の3本が3両から6両に増結される。

など、今回はラッシュ時の輸送力もさながら、2方面で終電1本前対策も打ち出している。


3. 結び

今回のJR北海道のダイヤ改正では気動車による普通列車は削減されるものの、札幌都市圏など電車による普通列車は輸送力強化がなされている。北海道全体では1995年から人口減少が始まっているが、札幌だけ見ると現在でも人口増加をしており、あと10年もすれば200万人都市になるのではないかという勢いであり、千歳線沿線では軒並み人口が増加している。

今回は札幌都市圏では大幅にダイヤが変わることになるが、今後の地下鉄も含めた札幌都市圏の交通機関について注目すべきだと思われる。

コメント

  1. より:

    はじめまして。
    今回の北海道新幹線開通によって飛行機使うお客様は減ると思いますかそれともほぼ変わらないと思いますか?私は少し減ると思います。なぜなら大宮近辺の人が新幹線利用にシフトすると予想するからです。
    長々と失礼しました。

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