直通運転開始も朝から特急運転へ 相鉄JR直通線ダイヤ改正(2019年11月30日予定)

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相模鉄道は2019年7月16日、プレスリリースにて2019年11月30日開業の相鉄JR直通線に伴うダイヤ改正で列車種別を追加・変更すると公表した( JR線との相互直通運転開始により 11月30日(土)新ダイヤでの運行を開始 )。またJR東日本は2019年7月16日、プレスリリースにて2019年11月30日開業の相鉄JR直通線に伴うダイヤ改正後の運行計画について公表した( 相鉄・JR直通線の運転計画について )。今回はこれらのうち相鉄JR直通線について開業時のダイヤを予測していく。

同日実施の相模鉄道ダイヤ改正予測はこちら!

1. JR直通列車の概要公表へ

今回の2019年11月30日相模鉄道ダイヤ改正では、相鉄JR直通線の開業によりJR東日本管内でダイヤ改正を実施する。

まず運転区間について見ていこう。今回設定する相鉄JR直通船列車の運転区間は、原則新宿~羽沢横浜国大~海老名間の運転となっており、埼京線池袋・大宮方面への直通は原則行わないほか、いずみ野線への直通列車は1本たりとも設定されない。

運転系統としてはシンプルで、JR東日本管内はすべての列車で新宿~武蔵小杉間はホームのある渋谷、大崎、西大井に停車、武蔵小杉を出ると東海道貨物線に転線し、新川崎と鶴見はホームの設置がないため通過、羽沢横浜国大に停車する。その後相鉄線内は西谷に全列車停車、相鉄線内普通列車と特急列車の2つの種別を用意し、普通列車は相鉄本線内西谷~海老名間まで各駅に停車、特急は横浜発着も含め西谷を停車としたことで、西谷、二俣川、大和に停車し、海老名まで停車駅を最小限に向かう。

なお相鉄線内特急列車の相鉄JR直通線がJR東日本管内で快速と名乗らないのは、快速と名乗ってしまうと湘南新宿ラインの快速同様西大井を通過させなくてはならず、もし快速と名乗った上で西大井に停車してしまうと、旅客が混乱し得るためであると思われる。

ちなみに相模鉄道の西谷~羽沢横浜国大間の正式名称は、相鉄・JR直通線が正式路線名のようだ。この路線名は消費税改定に伴う運賃改定申請資料でも使用されている( 資料はこちら )。ではプレスリリースで公表していた相鉄新横浜線はどこにいってしまったのだろう…おそらく、東急と直通する際に路線名称を変更するか、路線愛称として用いるのみで正式名称に使用しないかのどちらかなのだろう。




2. 新宿折り返し設定の謎と運転本数はどうなる

ではなぜ相鉄JR直通線は新宿折返しで設定するのか。埼京線大宮駅の行先の空白は一体何なんだ。

これまでJR東日本は湘南新宿ラインや上野東京ラインの開業など、折り返していた列車を直通化させることにより運賃収入のない折返しロスを削減してきた。

そのため、自然に考えれば埼京線新宿発着の列車を相鉄直通に延長させ、運用数を極力減らし経費を削減しようとするはずだ。

にもかかわらず、朝の一部列車を除き相鉄JR直通線列車は新宿発着で設定するということは、技術的に直通できない可能性が一番高い。もしかすると相鉄12000系が2017年11月4日より導入している埼京線保安システムATACSに非対応だからではないだろうか

その中で朝の一部のみ新宿行きではなく大宮方面まで直通運転する。これはおそらくE233系のみの運用で、車両が埼京線と共通運用であることから実施するものなのだろう。別に共通運用にして地下鉄東西線直通用E231系や地下鉄千代田線直通用E233系のように、新宿で原則折り返すなら相鉄JR直通線用E233系も相鉄20000系同様ヨコハマネイビーブルーをまとってもよかったのではないだろうか。

でも、わざわざ新宿で降り返さず大宮方面に流すのか。大宮方面から来る列車だって池袋入庫のために新宿で折り返したいはずだ。

湘南新宿ラインは両方向ともラッシュで混雑するため、概ね同じ本数を逆方向に送り返す必要があるが、相鉄JR直通線は朝は新宿方面が多いし夜は海老名方面の方が多いはずだ。常磐線は上野東京ライン開業とその後のダイヤ改正の影響で、平日朝ラッシュ時毎時14本の上野行きのうち半分の毎時7本が品川行きに延長した影響で、上野発松戸方面の朝ラッシュ時の運転本数は毎時14本から毎時7本に半減した。しかし、毎時7本の運転であれば利便性を大きく損なうかと言われると、昼間の快速と特別快速の合計と同じなのでそこまで利便性も損なうわけではない。総運転本数にもよるが、別に同じ本数を折り返させる必要性はなさそうだ。

となると、朝の新宿発海老名行きは毎時4本も設定する必要はないしある程度削減してもよいのではないだろうか。




では運転時間別ごとのダイヤについて予測して行こう。

相鉄JR線直通列車は46往復92本設定される。JR東日本管内のほぼ全区間で相鉄JR直通線と同じ線路を用いる湘南新宿ラインは平日1日67往復の設定となっている。これを参考に時間帯別の運転時間帯を予測すると以下の通り。

新宿発着
時間帯
新宿発
運転本数予測
新宿着
運転本数予測
5時台 0 0
6時台 0 0
7時台 2 3
8時台 2 4
9時台 2 3
10時台 3 3
11時台 3 3
12時台 3 3
13時台 3 3
14時台 3 3
15時台 3 3
16時台 3 3
17時台 3 3
18時台 3 3
19時台 3 3
20時台 3 2
21時台 3 2
22時台 2 2
23時台 2 0
24時台 0 0
合計 46 46

このように事前情報の通り平日朝ラッシュ時は毎時4本、平日夕ラッシュ時には毎時3本での運転が必要なほか、昼間も毎時3本での運転が必要となりそうだ。

ただ運転時間帯が短いため、湘南新宿ラインの運転のない時間帯に東海道線や横須賀線で品川接続山手線利用が認められているのと同様、相鉄JR直通線の定期券で横浜連絡利用を認めてもらえたら、相鉄JR直通線運転時間を縮小しても影響が少ないし東急新横浜線開業時には横浜に追加料金なしで寄り道できることで運賃割高分の一部をカバーできるかもしれない。




3. 朝ラッシュ時に全列車武蔵小杉停車で特急設定か

それでは時間帯別の相鉄JR直通線列車について見ていこう。

まずはJR東日本管内の停車駅については先述した通り、全列車揃えられることとなった。これにより、終日武蔵小杉に停車することとなった。短い10両編成が平日朝ラッシュ時に停車するようになるし、平日朝ラッシュ時に武蔵小杉のホームがあふれるのが本当に怖いよ。平日朝ラッシュ時の相鉄JR直通線から品川・東京方面に行く際には武蔵小杉乗り換えではなく、大崎で山手線乗り換えにしてもらいたい。百歩譲って相鉄線内特急運転列車も停車する西大井での乗り換えだろうが、いかんせんJR横須賀線はJR山手線より混んでいるので、根本解決にならない気もするが。

また相鉄のプレスリリースによれば、朝ラッシュ時にいずみ野線通勤特急と相鉄JR直通線を二俣川で接続させるそうだ。いや、なぜ朝ラッシュ時に特急という選択肢を行使した!!!

君たちは何を狙っているんだ!?運賃で小田急と怠慢張っても勝ってこないだろう?瀬谷や三ツ境、さがみ野から大和乗り換え小田急利用を奪うために直通してるんじゃないのか?そんなことしたって瀬谷や三ツ境から乗ってくれないぞ?

では所要時間で勝負できるか見てみよう。JR東日本のプレスリリースによれば新宿~二俣川間最速44分、渋谷~大和間最速45分としている。これから新宿~大和間の最速所要時間を計算すると50分になる。平日朝ラッシュ時の小田急の大和→新宿間は所要時間54分であるから、何と拮抗している。もちろん相鉄JR直通線も湘南新宿ライン同様平日朝ラッシュ時に所要時間が伸びるはずなので一概に相鉄JR直通線のほうが速いとは言えないし、運転本数は小田急の急行(相模大野から快速急行)が毎時6本なのに対し相鉄JR直通線は毎時4本なので運転本数はやや少ないが、所要時間だけでいえばまずまずの構図になっている(2018年3月17日ダイヤ改正で複々線化して所要時間短縮したはずなのにどんだけ小田急遅いんだ)。

ましてや渋谷発着となれば中央林間接続東急田園都市線は中央林間始発はほとんど各駅停車で長津田で接続しても遅い準急しかないし、下北沢連絡で京王井の頭線を利用しても京王井の頭線も平日朝ラッシュ時は各駅停車しか運転していないので所要時間がかかる。つまり、大和~渋谷であれば、定期代は負けるが所要時間では相鉄JR直通線利用が圧倒的に有利になるのである。

ちなみに、海老名~新宿間の相鉄JR直通線の最速所要時間は58分であるが、小田急小田原線は平日朝ラッシュ時の快速急行でも51分なのでぜんぜん負けてしまっている。この所要時間だともし下北沢で京王井の頭線に乗り換えても同着か少し小田急経由のほうが速いレベルである。

大和~新宿間では所要時間で勝負になるとはいえ、速度にこだわるだけのダイヤ改正を実行しようとするとは、博打にも程がある。相鉄線内は終日にわたり白紙ダイヤ改正の様相だが、相鉄特急を導入した2014年4月21日ダイヤ改正より滑って終わるね。

はて、何を狙っていることやら…ただ、今の段階では朝の相鉄JR直通線特急の運転はあるのはほぼ間違いないと言っておかしくないし、小田急と速度面で競合したいのだろうか?そんなことして相鉄沿線民に得はあるのだろうか。




4. 昼間は特急と普通が混在か

そして、昼間の相鉄JR直通線のダイヤはどうなるのか。

当初の予測では、いずみ野線にも直通する可能性があるとしていたため、除け者として毎時2本ないし毎時3本が相鉄線内全て特急で運転すると考えていた。

がしかし、毎時3本かつ全て海老名発着とすると、全列車で特急運転しても空気輸送だろう。現状の本線特急毎時2本より増やす必要はないだろう(そして昼間は競合しても運賃・所要時間ともに小田急の快速急行には勝てない)。

とはいえ昼間は都県境をまたぐ利用が少ないため、横浜方面への利用が多いはずだ。つまり、二俣川以西で各駅に停まる種別は昼間は出来るだけ横浜発着にしたいはずだ。

そうなると相鉄JR直通線は、昼間は特急と普通列車が混ざるのではないだろうか。

そう考えると、相鉄が所要時間が短いことを沿線不動産などで売りにして市場価値を高めたいと思っている場合には横浜発着の本線特急を少なからず残すはずなので、本線横浜発着特急毎時1本と相鉄JR直通線特急毎時1本で分け合い、残りの毎時2本の相鉄JR直通線列車は相鉄線内各駅に停車となるのだろう。

ただ、相鉄がダイヤ乱れ時にすぐに運転を打ち切れるよう、西武池袋線快速急行が地下鉄副都心線に直通するのと同様除け者扱いでできるだけ相鉄JR直通線に特急を割り振る可能性がある。そう考えると、相鉄JR直通線の昼間は特急毎時2本、普通毎時1本の運転になる可能性も十分にあり得るのではないだろうか。




5. 平日夕ラッシュ時はどうなる

さらに、平日夕ラッシュ時はどうなるのか。

昼間同様毎時3本の新宿発着の相鉄JR直通線が設定されているが、流石に帰宅時間帯であれば早さより停車駅を確保しても良いのではないか。

でなければ、平日夕ラッシュ時に中央特快を通勤快速に格下げすることもなければ、常磐線特別快速や湘南新宿ライン特別快速も平日夕ラッシュ時に運転しているはずだ(待避設備の関係で埼京線では快速より停車駅の少ない通勤快速を運転しているが、それ以上に各駅停車を増発している)。

ちなみに平日朝ラッシュ時同様小田急との競合も考えてみるが、小田急は全区間快速急行が新宿から大和まで48分で結ぶため、相鉄JR直通線の最速50分より早く到着できる。快速急行藤沢行きは平日夕ラッシュ時毎時2本しかないが、快速急行小田原行きからも相模大野で急行藤沢行きに乗り換えられるほか、ほかの本厚木方面の小田原線列車からも相模大野で各駅停車片瀬江ノ島行きに連絡できるため、有効本数が多くなる。

しかも渋谷から出発したとしても、平日朝ラッシュ時と違い平日夕ラッシュ時は京王井の頭線は急行を6分間隔で運転しているし、東急田園都市線も中央林間行きの急行が9分間隔で運転している。

その中で、相鉄JR直通線が平日夕ラッシュ時も特急運転してしまうと、利用が伸びなさそうだ。このようなことからも、平日夕ラッシュ時の相鉄JR直通線は原則普通列車として相鉄線内各駅に停車するのではないだろうか。


6. 結び

今回の2019年11月30日相模鉄道ダイヤ改正では、相鉄JR直通線の開業により相鉄とJR東日本の直通列車が設定されることとなった。

しかし、前評判通り運転本数は限られており、さらなる増発などの利便性の向上を図るべきなのかもしれないが、そこは2023年3月開業予定の東急新横浜線に譲ることとしたのだろう。

今後相鉄JR直通線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。

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