S-TRAIN始動! 西武鉄道・東京メトロ・東急電鉄・みなとみらい線ダイヤ改正(2017年3月25日)

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西武鉄道では、1月10日、プレスにて2017年3月25日から座席指定制列車であるS-TRAINの運行を開始すると公表した( http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2016/__icsFiles/afieldfile/2017/01/10/s-train.pdf )。今回はこれについて見ていく。

2017年3月4日ダイヤ改正まとめはこちら!

1. 4社直通の座席指定制列車の運行開始

今回2017年3月25日のダイヤ改正では、西武鉄道、東京メトロ、東急電鉄、みなとみらい線の4社を直通する座席指定制列車「S-TRAIN」の運行を開始する。

ダイヤとしては、平日は全列車が所沢~豊洲間に限定されている。朝の1本は所沢→豊洲の運行となり、残る3往復は夕方~夜にかけての運行となる。東武東上線TJライナーと異なり、平日夕ラッシュ時下りでも列車を設定している点が特徴的である(LONG/CROSSシートの意味が薄れる気がするのだがそれはさておき)。これは新宿発着の小田急ロマンスカーでも行われていることであるが、ロマンスカーは平日とはいえ箱根輸送があるので特急設定に価値を見出せるが、こちらはあくまで所沢始発。半ば回送とはいえここでライナー券を取りに行くとは、なかなかのものである。

土休日は西武秩父~元町中華街で運行され、西武池袋線内は土休日の西武秩父行きは特急「むさし」のスジを置き換える見込みであるものの、所要時間としては快速急行より長くなる見通しだ。東急東横線内は急行を置き換える形で設定されるものと思われ、渋谷〜横浜間の所要時間は停車駅が絞られているにも関わらず東横特急と同等なようだ。土休日は運行本数が運予数に比べられて抑えられているが、これは東急東横線の過密ダイヤが背景にあるものと思われ、急行の置き換えでやっと設定できるものであるから、2015年の泉北高速鉄道における泉北ライナー導入時と同様あまり設定しすぎるとかえって利用しにくくなる( http://diagramstudygroup.seesaa.net/article/429786218.html )。そのため東急線内ではかなり慎重な駆け出しとなったものと思われる。




2. 停車駅は最小限に抑えた形

過去に予測記事でもふれたが、今回の停車駅設定はかなり絞ったものになったと思われる。

平日は西武線内は所沢、保谷、石神井公園、有楽町線内は飯田橋、有楽町、豊洲に限定されている。これは千代田線で運行されている小田急ロマンスカーでも同様で、千代田線内は4駅に絞られてる。ただ、こちらも千代田線同様各駅停車の間を縫って走行するため、所要時間は変わらず、各駅停車時間も2分程度の長めにとられるものと思われる。

土休日についてはさらに絞り込みを行っている。西武池袋線内では特急停車駅の西武秩父、飯能、入間市、所沢に加え、池袋方面との接続を意識して石神井公園に停車する。なお、特急停車駅の横瀬は通過となる。副都心線内は新線池袋、新宿三丁目、渋谷のみとなっており、主要3駅にしか停車しない。新線池袋駅が両方向とも下車専用となっている背景には、西武との関係があるようで、S-TRAINに乗客が流れると運賃・料金収入ともに西武が減益となってしまいかねない。そのため、池袋から乗る場合には西武線を利用してもらうよう誘導しているものと思われる。東横線内はさらに停車駅を絞り込んでおり、渋谷、自由が丘、横浜のみとなっており、開発の進む武蔵小杉すら通過となっている。みなとみらい線内は東横特急の停車駅である横浜、みなとみらい、元町・中華街に停車する。ここまで停車駅の絞り込みを図った背景には、あくまで長距離移動の快適性を重視するためのもので、東横特急のような26分の入れ替わりの激しい列車ではなく、埼玉県西部や横浜への遠距離輸送に着眼しているためであると考えられる。とはいえ前述したように所要時間は現在の最速達種別(Fライナー)と比べてもあまり変わらず、東横線内では祐天寺駅での待避線使用開始が重なるものの使用はS-TRAINについては見送られるようだ。そのため、スピード重視の方は乗らない方が賢明であろう。




3. 料金は特急より控えめ

そもそも「S-TRAIN」の種別が何に当たるのかよくわからないところではあるが、少なくとも西武線内では特急レッドアローより価格を同額か安く設定されているようだ。

4ドアのLONG/CROSSシートのため特急レッドアローより居住性が低くなるのは当たり前といえば当たり前なのだが、西武・東京メトロ・東急の3社それぞれで料金を設定しているため運賃とほぼ同額の料金設定がされている。京成スカイライナーも同様の料金設定であるが、こちらは最速36分、最高160km/h運転をしているためそれなりの快適性と速達性があるため適切な料金設定だと思われるが、こちらはスピードはFライナーと変わらず居住性も4ドアのLONG/CROSSシートのため良いとはいえず、平日の510円はまだしも土休日の料金設定が割高な印象がある(特に東急)。この料金設定でどこまで客を拾うかが焦点になるものと思われる。

4. ダイヤ改正日はJRと異なる3月25日

今回のダイヤ改正プレスで驚きであったのが、今回の西武・東京メトロ有楽町線・副都心線・東急のダイヤ改正はJRグループのダイヤ改正の3月4日とずらすこととなった。これは近年では珍しく、修正程度ではあると思われるが東武東上線でも3月25日のダイヤ改正が見込まれている。JRと直通する東京メトロ東西線と千代田線は3月4日にダイヤ改正が行われることから、東京メトロは板挟みの様相だ。同様にJRと直通運転をする東武鉄道であるが、東武本線系統(伊勢崎線・日光線)は4月21日であり、500系特急電車Revatyの導入も同日になるものと思われる。

今回の2017年3月ダイヤ改正では先に当サイトでも記事を扱ったように新型車両の登場が目白押しである。そのため今回3月ダイヤ改正で改正日を同日にしてしまうと、話題性が薄れてしまい告知効果が薄れてしまうし、式典等でも分散してしまい西武・東武ともにメリットがないことから、3週間ダイヤ改正実施日をずらす措置になったのではないだろうか。


5. 結び

これまで座席指定制の列車(ホームライナー等)が2社以上にまたがって運行されるケースは、新幹線開業に伴う並行在来線でのケース(しなの鉄道のホームライナーのJR信越本線直通や、「あいの風ライナー」のIRいしかわ鉄道直通など)以外では稀であり、地下鉄直通となれば4社以上となれば初である。

今後どのような展開になるのか注目したい。

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