快速の昼間の小倉乗り入れ中止と西鉄特急消滅へ JR九州・西日本鉄道臨時ダイヤ運転(2020年4月~5月)

JR九州は2020年4月15日、プレスリリースにて4月~5月の土休日に一部列車を削減して運転すると公表した( 新型コロナウイルス感染拡大に伴う運転計画について )。また西日本鉄道は2020年4月15日、プレスリリースにて4月~5月の土休日に臨時ダイヤで運転すると公表した( 新型コロナウイルスの影響による西鉄電車運行ダイヤの変更について )。今回はこれについて見ていく。

2020年3月14日ダイヤ改正まとめはこちら!


1. 福岡地区JR各線で減便へ

今回の2020年4月~5月JR九州臨時ダイヤ運転では、4月11日~5月10日の土休日に減便を行う。

4月6日の時点では鹿児島線快速列車の昼間毎時1本削減と福北ゆたか線で昼間2時間に1本運転している黒崎~直方間の列車のみしか減便対象になっていなかったのに、4月15日のプレスリリースで大幅に拡大している。

結果4月11日からの土休日に減便運転しているのは鹿児島本線快速列車を昼間の毎時1本4往復、黒崎~直方間の昼間に2時間に1本6往復、及び鹿児島本線福間~博多間で2往復となっている。

もっとも小倉~福間間では土休日昼間から快速列車が消滅していて、かつ折尾~海老津間は快速含め昼間毎時3本から毎時2本に減っているのだが、久留米方面と痛み分けを行っていることと地域輸送性を考慮するとあながち間違いとも言えない。

また福北ゆたか線の黒崎発着列車も半ば回送運転感があり、別になくたってリニューアルした折尾で乗り換えればいいからそこまで影響が出るとは思えない。この程度の減便であれば北九州市内はやや不便になるかもしれないが、持続可能な範囲の範疇だろう。

1.1. 福岡地区JR各線の減便対象さらに拡大へ

ただ4月11日及び12日の状況を見たのか、4月25日以降はさらに減便対象が増える。上述の4月11日から行っている減便に加え、福北ゆたか線博多~直方間の快速概ね毎時1本4往復と、筑肥線筑前前原~西唐津間の概ね2時間に1本4往復となっている。

こちらも、福北ゆたか線は新飯塚~直方間は昼間毎時2本から毎時1本に半減してしまうものの福岡都市圏で利用も多い博多~篠栗間は昼間毎時4本から毎時3本に減るだけだし、筑肥線筑前前原~西唐津間も平日夕ラッシュ時毎時2本しかないところに昼間毎時2本の列車を運転していて昼夕輸送力比100.0%のところを昼間に減便しているので、そもそも平常時ですら混んでいない列車を削減しただけである。

なお筑肥線でも利用の多いものの昼夕輸送力比100.0%の姪浜~筑前前原間で減便できなかったのは、福岡市交通局との調整がつかなかったためのようだ。

2018年3月17日JR九州ダイヤ改正で定期列車が減便しているとはいえ、減便による生活への支障は大きくはない。また初終電の変更は行っていないことから新幹線との連絡もできなくなることはない。

総じてJR九州管内の臨時ダイヤは利用しようと思えば利用できるものにはなっているように思う。




2. 西日本鉄道でも減便で特急消滅へ

また今回の2020年4月~5月西日本鉄道臨時ダイヤ運転では、4月18日~5月10日の土休日に減便を行う。

おそらくJR九州の減便に追従する形で行っているのだと思われるが、減便規模は西鉄の方がはるかに上回っている。

まず、土休日は全時間帯において天神大牟田線で運転している特急の運転を取りやめ急行に格下げするほか、平常ダイヤでの急行をほとんどを運休する。これにより全時間帯で急行以上の速達列車が少なくとも毎時2本、ほとんどの時間で毎時4本削減している。

臨時ダイヤで運転するのは、急行西鉄福岡(天神)~大牟田間、急行西鉄福岡(天神)~西鉄久留米~花畑間、普通西鉄福岡(天神)~西鉄久留米~花畑間、普通西鉄福岡(天神)~筑紫間、普通甘木~西鉄久留米~大牟田間をそれぞれ昼間毎時1本ずつの運転とする。

これにより大牟田乗り入れの急行が昼間にも運転する一方で、西鉄福岡(天神)~西鉄久留米間は32分から50分に18分も延び、西鉄福岡(天神)~大牟田間が通常の1時間04分から1時間28分に24分も伸びてしまっている。特に西鉄福岡(天神)~西鉄久留米間は平常ダイヤでも急行は40分で結んでいることから、停車時間の拡大により10分も延びてしまっている。停車時間が1分から概ね2分に延びていることを考えると、車内換気を徹底したいようだ。

また平常ダイヤでは西鉄福岡(天神)~小郡間運転の急行が筑紫~小郡間で各駅しており、筑紫~小郡間では急行通過駅でも昼間毎時4本の乗車チャンスを設けていたが、今回の臨時ダイヤ運転では急行が一部区間で各駅に停車することなく運転することとなったため、筑紫~小郡間の急行通過駅では昼間毎時4本から昼間毎時1本にまで大幅に減少している。いやお情けでもいいから筑紫発着の普通列車を小郡発着として設定して毎時2本運転を確保できなかったのかとは思う。

ちなみに西鉄二日市~筑紫間で各駅に停車する急行は引き続き運転する。何だこの小郡方面に対する嫌がらせは。

せめてもの救いは、昼間の大橋での緩急接続がなくなったことから、西鉄福岡(天神)~西鉄二日市間の昼間の先着本数は毎時6本から毎時4本にまでしか減っていないこと。このため実は西鉄福岡(天神)に近いところでは輸送力は66.7%も減ったのに、利便性はそこまで低下していないのだ

西鉄は短編成を併結して5両~7両の列車を作るので、本来昼間であれば6両で運転している特急や5両で運転している急行を3両に減車して運転しても良かったのではないかとは思うが、利便性がそこまで変わらないのであれば減車ではなく減便を選ぶというのもわかる。ただ緊急事態とはいえ各駅に停まる列車が昼間毎時2本しかない時点で都市鉄道としての機能を喪失している気もするのだが。

このほか大宰府線は昼間毎時4本から毎時2本に半減し、西鉄福岡(天神)への直通を取りやめ、全列車西鉄二日市~大宰府間の折り返し運転としている。

初電は西鉄福岡(天神)5時16分発普通大牟田行きから西鉄福岡(天神)6時10分発普通大牟田行きに繰り下げた。また終電も西鉄福岡(天神)23時48分発普通筑紫行きから西鉄福岡(天神)22時21分発普通筑紫行きに1時間25分も繰り上がっている。

これらのことから、初電は概ね1時間繰り下げ、終電は1時間30分~2時間の繰り上げを行っているようだ。

2.1. 貝塚線でも減便へ

このほか貝塚線では土休日昼間の運転本数を毎時4本から毎時2本に半減する。そもそも貝塚線は全便運休したって鹿児島本線や香椎線で多くは代替できるので、30分間隔になっても必要不可欠なほど困るということにはならなそうだ。

またJR筑肥線が地下鉄空港線と直通することによって主要区間で減便できなかったことを考えると、貝塚線が減便できたのは地下鉄箱崎線と直通していなかったからというのも大きいだろう。

減便すると着席率が増えるため、かえって感染してしまいかねないと思う方もいるかもしれない。確かに平日朝夕ラッシュ時は間違いなくそうだし、地方鉄道は高校の休校によりより空いていることから減便を検討しても良いが、都市鉄道において通勤時間帯に減便したらところかまわず殴っていい。おそらく平日昼間に減便しないのも時差通勤を呼び掛けているためと言うのもあるのだろう。

実際北京地下鉄でも朝夕は通常ダイヤにはない阪神電鉄も驚きの華麗なる千鳥運転を行うことで区間運転を多用して最混雑区間で30%の増発に成功したが、一方で昼間は平日・土休日とも30%減での運転となっている。外出自粛要請で空いている土休日に鉄道職員の外出数を増やして感染リスクを上げるよりも、減便してリスクを抑えた方が理に適っていると言っても無理はない。

もっとも福岡県同様国から緊急事態宣言が出ている東京や大阪の多くの鉄道会社は資金が潤沢なため、減便するのに必要な運用調整をおこなうよりもただただガラガラの電車を走らせた方が得策と思っているのかもしれない。特に東海道新幹線は臨時列車を減便すると、アニュアルレポートなどに各年の平均運転本数(臨時)をまとめるにあたり、2020年に急激に落ちているというデータを残しあたかも急に後退したと今後思われたくないがためにほとんど臨時列車を削減していないという可能性さえある(逆に他の新幹線各社は定期列車の運転本数で各年比較しているので、容赦なく臨時列車を運休させている)。

土休日昼間の減便は鉄道各社の意図が見えるところなので、今後も各社で対応が分かれそうだ。

でもそう考えると、北海道による緊急宣言で特急列車はすかさず減便したのに増発したての千歳線快速エアポートを含む札幌都市圏の電車を平常通り運転したJR北海道は地域輸送を支えるという意味ではすごいことをしているんだなとも思ったりしたのは私だけだろうか。

3. 大幅減便後のダイヤ回復はどのようになるのか

ではこのような大幅な減便を行った後、今後JR九州や西鉄はどのようになるのろうか。

もし緊急事態宣言を解除しても一度に全ての経済活動を再開させるはずがなく、この減便を超える旅客減は月単位で続く可能性が高い、いや年単位となっても過言ではない。

ただ緊急事態宣言が解除されればアピールのために列車の運転本数を復活させる可能性はある。しかしもし来年2021年まで乗客減が続くとすれば運賃収入が入らなくなり鉄道各社が立ち行かなくなる可能性だってある。運賃改定に必要なのは過去3年分の収支の平均なので、2~3年後をめどにJR九州や西鉄で運賃値上げを申請してもおかしくない。

ただ乗客減はこのご時世の特異的なものなので国土交通省から運賃改定を却下される可能性はあるが、西鉄に関しては現状国土交通省の許可の必要な認可運賃より若干安い運賃を申請している。つまり西鉄は国土交通省の許可がなくても届出さえすれば多少は運賃値上げを実施できる環境にあるのだ

また緊急事態宣言が長期化しテレワークが加速して印鑑が電子化するようなことがあれば、もはや電車に乗って通う頻度も減る。そうなればある程度復便はするだろうが終息後には通勤時間帯の減便だって考えられる。そうなれば貴重な定期券収入も減るので、結果規模の小さな鉄道会社ほど運賃値上げのリスクが高まりそうだ。

4. 結び

今回の2020年4月~5月JR九州及び西日本鉄道臨時ダイヤ運転では、福岡県内を中心に多くの列車で運休する。

今後どのような臨時ダイヤで運転するのか、見守ってゆきたい。

コメント

  1. hiro より:

    賛否両論はあるものの、近鉄特急の本数は削減しない。本州にある一部のJRのように定期特急列車は削減の対象にしないと言うのは地域住民にとって安心する場合もある。もちろん、ウイルスを運んでくる危険があるのは承知の上だが。
     一方で定期列車を削減してしまうと「終息後には元の水準まで戻してくれるの?」と不安になってしまう。特に日豊本線の特急はその不安が強い


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