快速復活は特急踊り子廃止の前兆か 伊豆箱根鉄道臨時列車運転(2019年4月~5月GW期間)

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伊豆箱根鉄道は2019年4月12日、プレスリリースにて4月~5月にかけて駿豆線で臨時列車を運転すると公表した( ゴールデンウィーク10連休記念 「快速修善寺号」運転!! )。今回はこれについて見ていく。

2019年3月16日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!

1. 駿豆線で快速列車運転へ

伊豆箱根鉄道では2019年3月16日ダイヤ改正を実施しなかったが、今回の2019年4月~5月伊豆箱根鉄道臨時列車運転では、駿豆線で臨時快速修善寺号が運転される。

運転日は2019年4月27日~5月6日のうち月曜~土曜で、日曜日となる4月28日と5月5日は運休となる。

運転時刻は修善寺9時46分発、三島10時12分着で設定される。これにより三島10時24分発「こだま636号」東京行き及び三島10時24分発「こだま643号」名古屋行きに連絡することができる。これにより修善寺基準で16分遅い電車で同じ新幹線に連絡可能となる。

なんだか快速修善寺号と聞くと修善寺に行く快速列車かと思いがちだが、修善寺始発三島行きの一方向しか設定されないこととなった。

途中停車駅は大仁、伊豆長岡、大場、三島広小路で、特急「踊り子」が停車する三島田町を通過する一方で、特急「踊り子」の通過する三島広小路に停車する。

なお快速修善寺号が日曜日に運休するのは、同じスジで日曜運転の修善寺9時46分発特急「踊り子102号」東京行きが運転されるためである。




2. 21年ぶりの快速復活は特急「踊り子」廃止の前兆か

今回の2019年4月~5月伊豆箱根鉄道臨時列車運転では快速修善寺号が運転されるが、駿豆線では1998年まで定期列車として快速が運転されていた。

JTB時刻表1997年10月号799ページA(中伊豆)記載の伊豆箱根鉄道駿豆線時刻表によれば、快速列車は三島9時20分発修善寺行きと修善寺10時46分発三島行きの1往復が運転されていた。途中停車駅は三島広小路、大場、伊豆長岡、大仁で、今回運転する快速修善寺号と同一である。しかも上りの修善寺発三島行きに関しては、ぴったり1時間繰り上げとなっているのだ。

しかもこの快速、一部を指定席として設定し、料金200円を徴収していたのである、当時から特急踊り子に対して料金を取っていなかったにもかかわらず、快速で指定席料金を徴収していたのである

JR東日本では2019年3月16日ダイヤ改正で中央本線特急「あずさ」「かいじ」からE257系を撤退させたこと及びその改造工事が現在着々と進められていることから、相鉄JR直通線の開業する2019年11月30日ダイヤ改正ないし全国規模でダイヤ改正を実施する見込みの2020年3月ダイヤ改正で特急「踊り子」が現在の185系からE257系に置き換わる可能性がある。




そうなれば、JR東海や伊豆箱根鉄道管内へ入線したことのない車両が特急「踊り子」として使用されることになるが、両社の迫られる対応は2つ。

1つは乗務員訓練を行い入線させること。もう1つは乗り入れをせず直通を取りやめ、修善寺発着の「踊り子」が廃止すること。この後者の特急「踊り子」の廃止代替として快速列車の復活を検討しているのではないか。

JR東海としては在来線で東京まで利用する場合区間の8割以上がJR東日本管内かつB特急料金で安値でしかも車両使用料まで支払う必要がある特急「踊り子」の三島乗り入れを残すより、三島から東海道新幹線に乗ってもらった方が増収につながるわけで(特に「こだま」号は空席が目立つ)、JR東海が特急「踊り子」を積極的に残す理由はない。

また伊豆箱根鉄道としては、東京駅から修善寺の表示が消えてしまうという点では損になるかもしれない。しかし、もし快速で代替すれば過去のように一部座席で座席指定料金を設定すればそのまま増収につながるし(今だったら300円でも利用者はいるだろう)、特急乗り入れ中止で運用制約が減り、効率化が図られる。

伊豆箱根鉄道7000系はJR東海直通仕様車のため、頑張れば東海道線熱海乗り入れも可能だ。しかしJR東海としては三島から新幹線に乗り換えてほしいわけで快諾されるはずもなく、特急「踊り子」の廃止代替で熱海で特急「踊り子」に接続させる必要はない。また伊豆箱根鉄道としても指定席料金も値上げや按分をしなくてはならず、駿豆線内完結運転より収入が減る可能性がある。

もちろん中央本線特急「あずさ」「かいじ」のように、ダイヤ改正をせずに運用変更を行い、臨時特急「踊り子」からE257系に変えていく可能性はある。

しかし改造中のE257系は、9両編成はそのまま改造され増結や短縮は行われていないほか、2両編成の付属編成は廃車が濃厚だ。

そうなると、修善寺乗り入れ用の5両編成は用意されず、駿豆線も終点の修善寺含め5両までしか乗り入れできないことから、185系の運転を取りやめれば伊豆箱根鉄道乗り入れは廃止とならざるを得ない。

そう考えると、残り数年で(おそらく2020年3月ダイヤ改正までには)特急「踊り子」の修善寺乗り入れは廃止となり、一部列車を駿豆線内完結の快速列車で置き換えるのではないだろうか。




そしてもう1つ重大な列車の廃止がある。現在JR東日本の車両がJR東海に乗り入れる指定席連結列車は特急「踊り子」の他に東海道本線臨時快速「ムーンライトながら」があるが、こちらも185系を使用していることから老朽廃止の可能性が高い。

特急「踊り子」の修善寺乗り入れ廃止と同時かその後に廃止になる可能性があるが、十分注視していく必要はあるものと思われる。

とはいえ、東海道本線臨時快速「ムーンライトながら」は、JR東海神領車両区の特急「しなの」用383系で代替することは不可能ではない。383系であればJR東日本管内篠ノ井線にも乗り入れるため、乗務員訓練がある程度実施されているためである。

また383系は中央本線急行「ちくま」として夜行運転の定期便を持っていたこともある。また武豊線直通列車(即ち朝夕は東海道線名古屋乗り入れ)は神領車両区所属車両が担当していることから、神領車両区の車両が東海道本線の列車を運用することに対するハードルは低いはずだ。

その他には定期列車時代の373系に戻す策もあるが、この10年JR東日本では運転されていないし、運用に限りがあることから東京での滞泊(というより昼寝か)が難しい。

このことから、もしムーンライトながらを存続させるのであれば、383系を転用させるほかなかろう。


3. 結び

今回の2019年4月~5月伊豆箱根鉄道臨時列車運転では、特急「踊り子」号と同じスジで快速修善寺号を運転することとなった。

今後特急「踊り子」用の車両置き換えで伊豆箱根鉄道修善寺乗り入れはどうなるのか、「踊り子」廃止時には快速が代替するのか、また東海道本線臨時快速「ムーンライトながら」は生き残るのか、見守ってゆきたい。

コメント

  1. こだま愛用者 より:

    「特に「こだま」号は空席が目立つ」とあるが、平日、土日含めて浜松あたりまで、日中こだま号の自由席はほぼ満席。ただ、各駅で入れ替わりが大きいので小田原から乗車して着席できなくても熱海、三島で着席できる可能性が高い。名古屋からこだまに乗った際も名古屋乗車時は数名だったが、浜松では満員となった。そのようなわけでかつての「空気を運ぶ」といったことはないように思えるが、JR東海が公表して内容では「空席が目立つ」という内容なのだろうか。

  2. KH8000 より:

    修善寺踊り子廃止理由は、もっと別の理由もある。競輪客のマナーが悪く、指定席券持っていないのに指定席に勝手に座って、後で指定席持った客が来ると、競輪客が席を譲らずトラブルになって、しかも競輪客はキレやすい人が多いので、暴力沙汰になると言う。これにはJRも対応に苦慮。そんなような客を相手にするならば、止めたいのも当然である。過去にそのような事例で廃止に追い込まれた列車がいくつかあったと思ったが?

    「ながら」の東京再乗り入れについては373系が妥当だ。
    383系は繁忙期に「しなの」以外に回せる車両は根本的に少ないし、JR東日本にも乗り入れているので大丈夫のような記述もあったが、長野支社の乗務員ならまだしも、「ながら」は横浜・東京支社の担当なので最初からハンドル訓練などの勉強が必要。
    10年と言うブランクはあっても、373系の方がハンドル訓練をやるにしても、383系よりは楽に出来るはずで、整備などの検修側サイドも受け入れやすいはずだ。
    373系は静岡地区のホームライナー運用がメインで、こちらに皺寄せは来るだろうが車両数は余っているので、こちらの方が現実的だ。

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