減便実施も割安列車運休で事実上値上げへ 小田急電鉄・東武鉄道・JR四国臨時ダイヤ運転(2020年5月)

JR四国は2020年4月24日、プレスリリースにて4月29日より在来線特急を中心に臨時ダイヤで運転すると公表した( 新型コロナウイルスの影響による列車の運休について )。また小田急電鉄は2020年4月30日、プレスリリースにて5月2日~10日の土休日の特急ロマンスカーを全列車運休すると公表した( 2020年5月9日・10日の特急ロマンスカーの運休について )。さらに東武鉄道は2020年4月28日、プレスリリースにて4月25日から実施している一部特急列車の運休を継続すると公表した( 2020年5月9日・10日の特急ロマンスカーの運休について )。今回はこれらの空港連絡ではない在来線特急の臨時ダイヤについて見ていく。


1. 閑散区間中心に在来線特急を運休へ

今回の2020年5月JR四国臨時ダイヤ運転では、在来線特急を中心に減便を行う。

予讃線特急「宇和海」、高徳線特急「うずしお」、徳島線特急「剣山」は4月29日以降各2往復ずつを減便する。

さらに5月2日~6日は、予讃線特急「宇和海」、高徳線特急「うずしお」、徳島線特急「剣山」は概ね運転本数を半減させ、「宇和海」と「うずしお」は概ね2時間に1本の運転となった。いずれも平常時2~3両での運転が多い列車で、減車できずに減便と言う形を取ったのだろう。とはいえ、少なからず利便は保たれているので、このご時世であれば十分健闘しているものと思われる。

当然のことながら多客期増結なんて行っているわけがない。

また、4月29日より多くの予讃線特急「しおかぜ」のうち増解結を行っている15往復中9往復(5月2日~6日は10往復)で特急「いしずち」との増解結を取りやめ、岡山~松山間で5両編成で運転する。この増解結中止は多客期に岡山発着の編成を8両で運転するために行っているものだが、今回はそれを逆手にとって減車した。

また土讃線特急「南風」のうち特急「しまんと」と併結する2往復で増解結を取りやめ、岡山~高知間でほかの特急「南風」同様3両で運転する。JR四国としては両数削減の他に増解結に係る要員削減もあるのだろう。

ただ1つ気になるのは、平常時でも土讃線特急「南風」は3両でしか運転しないのだから、予讃線特急「宇和海」のように2往復削減したっていいのではないかということ。

2017年度の特急列車の輸送密度は、特急「宇和海」の通る予讃線内子~伊予大洲間で2,689人/日・往復なのに対し、特急「南風」「しまんと」の通る土讃線多度津~琴平間で2,871人/日・往復であることを考えると、そこまで大差はない。もっとも岡山~丸亀などの需要を気にしているのかもしれないが、予讃線特急「しおかぜ」が走っているし最悪瀬戸大橋線快速マリンライナーから坂出で乗り換えれば着く。5月11日より土讃線特急「あしずり」が1往復減便することを考えると、特急「南風」も2往復程度減便しても良かったのではないだろうか。

まあ可能性として考えられなくもないのはJR西日本が空港連絡特急「はるか」以外の定期列車の減便を行わない方針であることがあるのかもしれないが、土讃線特急「南風」を多少減便しても良いと思うのは気のせいだろうか?

ちなみにJR北海道は2020年7月23日までの業務量縮減について労組と合意した。JR北海道は北海道内での緊急事態宣言から減車・減便を計画しその後追加での減便を行っていない点では努力していると思うのだが(むしろ室蘭本線特急「すずらん」を1往復復便したくらいだし)、長期戦になることを見込んでいるようだ。

2. 小田急ロマンスカー全運休へ

今回の2020年5月小田急電鉄臨時ダイヤ運転では、5月2日~10日の土休日の小田急ロマンスカーの運転をすべて取りやめる。

小田急ロマンスカーの場合、全運休したとしてもほぼすべての区間で快速急行による代替が可能であり所要時間もさほど変わらないほか、特急ロマンスカーから接続する箱根登山鉄道箱根湯本~強羅間が長期運転見合わせとなっておりそもそも客足が遠のいていることが挙げられる。

2020年7月予定の箱根登山鉄道復旧以降は特急ロマンスカーを一部復便するかもしれないが、それまでの間は土休日の特急ロマンスカーを全運休する可能性は十分ありそうだ。

3. 東武特急も一部運休へ

今回の2020年5月東武鉄道臨時ダイヤ運転では、4月25日より毎日平日も含め特急列車を中心に運休する。

伊勢崎線特急「りょうもう」は昼間運転の列車のうち2本に1本を運休する。ただ内容をよく読むと、下りは太田行き、上りは赤城始発を中心に減便するなど減便対象の発着地が一致していない。

また日光線特急は昼間の「きぬ」「けごん」を中心に減便している。これは特急「リバティ会津」より運転区間が短いためかつ併結する特急「リバティけごん」でアクセス可能だからであると思われるが、東武鬼怒川線及び野岩鉄道・会津鉄道線内で特急「リバティ会津」が乗車券のみで立席利用できることを活かして野岩鉄道では昼間の6050系による普通列車の運転をほぼ取りやめてしまった。

また「朝間・夕夜間の通勤利用を考慮しつつ」と言っておきながら、朝夕しか運転しない特急「スカイツリーライナー」や宇都宮線特急「しもつけ」でも運休を行っている。しかも宇都宮線特急「しもつけ」は全滅だ。2020年6月6日東武鉄道ダイヤ改正以降の運転はないが、それより前の4月24日に運転を取りやめてしまったということなのだろうか?なんだか2020年4月17日に突如運転を打ち切ったJR北海道札沼線のようになりそうで怖い。

伊勢崎線特急「りょうもう」や日光線特急スペーシアなどは、午後割や夜割を使用すると旧急行料金並みの安値で利用できる。もっともこれらの割引があるのはそもそも利用が少ないために利用者を特急に乗せたいがために行っており、今回の減便でも利用者の少ない列車群として率先して減便の対象になったようだが、実質割安料金で利用できる列車の削減と化してしまっている。

もっとも特急「りょうもう」は2本に1本程度を間引きしているだけなのだが、日光線特急の場合は旧急行料金で利用できる「くりふり」「しもつけ」のほか、午後割や夜割を適用して割安料金で利用できる特急スペーシアを減便し、全日に渡りスペーシア土休日特急料金を適用するリバティは全て残しているのである。つまり日光線特急の減便は乗客単価の引き上げ目的もあるようだ

4. 結び

今回の2020年5月JR四国・小田急電鉄・東武鉄道臨時ダイヤ運転では、土休日を中心に需要に応じた減便を図った。

今後日本全国の在来線特急でどのような減便を図るのか、見守ってゆきたい。


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