自由席と同額で新幹線全列車全車指定席化実施か! 国土交通省に忖度したJR東日本ダイヤ改正予測(2026年3月予定)

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自由席と同額の新幹線全列車全車指定席化実施か! 国土交通省に忖度したJR東日本ダイヤ改正予測(2026年3月予定)

JR東日本は2024年11月6日、プレスリリースにて2025年1月に会社分割を行い不動産事業を分離すると公表した。今回はこれについて見ていく。

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新幹線も全車指定化したいJR東日本

JR東日本では2014年3月15日ダイヤ改正で高崎線特急「あかぎ」用に651系を転用した際に全車指定席の特急「スワローあかぎ」を運転開始、翌年2015年3月14日ダイヤ改正で常磐線特急品川延伸化に合わせ常磐線特急「ひたち」「ときわ」を全車指定席とし割安なE特急料金を設定した。このE特急料金導入に伴う東京近郊在来線特急列車の全車指定化は2024年3月16日ダイヤ改正までにほぼ完了している。自由席と比べ指定席は車内検札を減らせることから乗務員コストの削減にもつなげることができ合理化できる。

一方新幹線。2002年12月1日の東北新幹線八戸延伸に伴い運転を開始した東北新幹線「はやて」は盛岡以北へ向か旅客の座席確保目的で全車指定席とし、合わせて併結運転を行う秋田新幹線「こまち」も全車指定席とした。がその後の全車指定席化はなかなか進まず、2015年3月14日北陸新幹線金沢延伸時に運転を開始した北陸新幹線「かがやき」のほか、2022年3月12日ダイヤ改正で山形新幹線「つばさ」、2023年3月18日ダイヤ改正より上越新幹線「とき」のうち臨時列車のみが全車指定席となっている。が、依然として自由席連結の新幹線が多い。

もっとも新幹線はたいてい在来線と改札で分けられているので、自由席に乗るにもどこかで新幹線特急券を見せないと乗ることができない。このためよほどなことがなければ無賃乗車になることはないのだが、果たして本当にそのために自由席を残しているのだろうか?

そもそもJR東日本では新幹線の高速化に取り組んでいる。上越新幹線では2023年3月18日ダイヤ改正までに最高速度を240km/hから275km/hに引き上げ所要時間を多くの列車で4分程度、最大7分短縮した。もちろん高速化には投資を行っているため増収を図り必要があり自由席より通常期で530円高い指定席で統一する全車指定席化を図るものと思われたが、結果的に臨時列車のみ全車指定席化となっている。おかげさまで同じ列車愛称「とき」であっても自由席のある列車と自由席のない全車指定席の列車があるが、わかりにくいしJR東日本が本当にそうしたかったとは思えないのだが。

また2024年3月16日の北陸新幹線敦賀延伸時に敦賀で接続する大阪方面湖西線特急「サンダーバード」や名古屋方面北陸本線特急「しらさぎ」は全車指定化したにもかかわらず、北陸新幹線「つるぎ」には12両中2両の自由席が残っている。連絡する在来線特急列車は全車指定席になったのに新幹線に自由席が残っているっておかしくないか?

JR東日本およびJR東日本と直通するJR西日本区間を含む北陸新幹線全線で全車指定席化w図りたそうではある。が、なぜか全列車の全車指定席化にこじつけていない。

そう考えると、新幹線の全車指定席化を阻止したい組織があるとしか思えない。その組織がどうやら国土交通省なのではないか。




在来線特急列車は全便全車指定化できるのに新幹線を全便全車指定化できない国土交通省が定めたルール

そもそも在来線特急列車はいとも簡単に全車指定席にできるのに、なぜ新幹線はなかなか全車指定席にできないのか。

まずこれを理解するうえで鉄道運賃料金の設定の仕方から説明しなければならない。在来線特急に乗るには運賃からなる乗車券と特急料金からなる特急券が必要で、新幹線に乗るには運賃からなる乗車券と新幹線特急料金からなる新幹線からなる。これらの運賃や料金は鉄道会社側で勝手に値上げすることができず、国土交通省に認可または届出をしなくてはならない。

認可は国土交通省側で基準に従い審査し基準に合っていなければ却下できるもの。鉄道運賃料金に関する認可は今後3年間の赤字証明が必要なので極めてハードルが高い。

一方届出は紙一枚で簡単に改定できる。よほど法外な値段でなければ国土交通省はただ首を縦に振るほかない。このため届出で変えられるもの字ついてはかなり値上げしやすい。

鉄道運賃料金において認可が必要なものは運賃と通常期新幹線特急料金から530円を引いた額(以後、自由席立席新幹線特急料金と同等額)、届出だけで料金値上げができるのは在来線特急料金と座席指定料金、グリーン車などの特別室料金となっている。

なぜ在来線特急料金は届出だけでよいかというと、在来線特急はJR以外にも一部の私鉄で運転しており、私鉄特急はたいてい全車指定席である。これは私鉄はかつて速度に応じた料金を徴収してはならず、座席指定料金扱いで特急料金を徴収し始めたことから座席指定という料金徴収目的を果たす目的である。このため国土交通省でも座席指定料金の延長として在来線特急料金は届出だけで変更可能としている。

また認可には値上げを抑制するという効力上がるが、在来線特急料金より距離当たりの料金が高くなるであろう新幹線特急料金の値上げが抑えられれば新幹線より高くなるはずのない在来線特急料金の値上げも一定程度抑えられるというわけだ。このためたとえ届出だとしても在来線特急料金を新幹線特急料金より高くした場合は確実に国土交通省は指導が入れることができ料金を値下げさせることができる。




これが在来線特急は全車指定席化できるのに新幹線が全列車全車指定席化できないのとどのような関係にあるのか。

自由席のあった在来線特急が全車指定席化するにあたり、JR東日本でもJR西日本でも自由席と比べ200円~530円程度値上げしている。在来線特急料金は届出だけで変更できるので国土交通省はただ盾に首をうなずくしかないので簡単に値上げができる。

一方、新幹線は自由席立席新幹線特急料金の設定に対し国土交通省の認可が必要である。つまり新幹線は国が認めた額で乗車できるよう保証しないといけない。しかも新幹線にはつり革や手すりはないので、着席を前提とした乗車でなければならない。もっともごくまれに人が多すぎて着席できない場合を除いて着席できるようにしなければならないのでspan class=”bold-red”>新幹線は国が認めた運賃と自由席立席新幹線料金だけでよほどのことがない限り着席を前提とした車両を用意しないといけない。これが自由席車両なのだ

ではなぜ東北新幹線「はやぶさ」や北陸新幹線「かがやき」、上越新幹線「とき」の臨時列車や多客期の東海道山陽新幹線「のぞみ」では全車指定席として運転できるのか。これは、それより下位の遅い新幹線列車で自由席を設定しているために、国土交通省が認可した運賃と自由席立席特急料金だけで乗れる列車を別途設定しているためである。東北新幹線は「やまびこ」、北陸新幹線は「はくたか」「つるぎ」、上越新幹線は「とき」のうち定期列車、東海道新幹線は「ひかり」、山陽新幹線は「みずほ」「さくら」が該当する。

なお東海道山陽新幹線「のぞみ」では国土交通省の言う「でよほどのことがない限り着席を前提とした車両を用意しないといけない」を守り、全車指定席で運転するのは多客期のみとし1年365日中330日程度は自由席を設定している。かつて1992年3月12日から2003年9月30日まで「のぞみ」は全車指定席だったが、これは2003年10月1日以降と比べ圧倒的に運転本数が少なく東京~新大阪間を先着で行く新幹線の半数以上が自由席設置の「ひかり」であったことから自由席車両を確保できているとみなされていたらしい(ただ2010年以前はそこら辺今より基準があいまいでガバガバなのでなんとなくすり抜けられていたとも言われている)。2025年3月より「のぞみ」の自由席を3両から2両に縮小するとしているが全車指定席化できなかったのは東海道新幹線の列車の大半が全車指定席となることを国土交通省から止められていると言われている。

また全車指定席列車しか運転しない東北北海道新幹線盛岡~新函館北斗間では多客期も含めて指定席に空席が発生するためよほどなことがない限り指定席空席を確保できることから、自由席特急料金と同額の特定新幹線特急券を発行し指定席の空席に座らせることで国土交通省が定める「国が認めた運賃と自由席立席新幹線料金だけでよほどのことがない限り着席を前提とした車両を用意しないといけない」をギリギリ満たしているとしている。




新幹線の全車指定席化を果たすためには

では新幹線の全車指定席化を図るためにはどうすればよいか。方策は主に5つある。

  • 自由席立席新幹線特急料金を届出制とすることで新幹線全列車全車指定席を図る
  • 指定席料金をそのままに全区間で特定特急券を発売することで全車指定席化を図る
  • 指定席新幹線特急料金も含めた額まで認可制対象を拡大し全車指定席化を図る
  • 新幹線指定席を自由席特急料金と同額に値下げして全車指定席化を図る(よって指定席は通年同額)
  • 「はやぶさ」「かがやき」などの既得権益列車は従来通りの料金、そのほかの列車は自由席特急料金と同額で新幹線指定席を利用できるようにして全車指定席化を図る(一番混沌とした状態)

ではそれぞれについて見ていこう。




自由席立席新幹線特急料金を届出制とすることはできるのか

まずはJR東日本が掲げる自由席立席新幹線特急料金を認可制から届出制に変更すること。在来線特急料金同様届出制にすれば国土交通省の全車指定化拒否がなくなるほか、値上げも簡単にできるのでJR東日本としては考えうる最高の環境となる。

が、世界の高速鉄道料金相場を見ても日本の新幹線は韓国KTXや中国CRHの約2倍、ヨーロッパの高速鉄道と比べても約1.5倍もする。もっとも2020年から2023年にかけ物価が20%上がったとはいえいまだに日本の新幹線はそれを上回る値段の高さをしている。物価高となった2024年と比べても未だに割高なのだ。

そんな割高な新幹線特急料金が届出制となれば値上げがいとも簡単にできてしまうのは間違いがない。また新幹線特急料金より高い料金に設定することができない在来線特急料金も大きく値上げすることができる。相場より高いものをさらに値上げしようとはあまりにも国民の不利益すぎないか。

そう考えると国土交通省として国民への明らかな不利益につながる自由席立席新幹線特急料金を認可制から届出制は断じてしないだろう




全区間で特定特急券発行による指定席化で座席保証はできるのか

次に特定特急券発行による新幹線の全車全列車指定席化。東北北海道新幹線「はやぶさ」盛岡~新函館北斗間および盛岡始発終着列車の仙台~盛岡間で行っている手法である。

ただ




指定席新幹線特急料金まで認可対象を拡大し合法的に全車指定席化へ!

自由席特急料金と同額に指定席を値下げで通年同額化か!

そもそも2015年3月14日から東京近郊で順次導入しているE特急料金は特急料金収入が以前と変わらないようにするための措置である。JR東日本としては車掌業務が簡素化でき人件費削減になるので積極的に導入してきた。それと同様に新幹線でも値下げを図ってよいではないか。

が、2020年からの大幅輸入減でJR東日本は経営難に、3年もの無利息社債300億円を2回発行しており社債の利息すら返せないほどとなっている。もう完全に経営が傾いており増収しないと破産しかねない。このため新幹線指定席特急料金を値下げできるほどの余力がJR東日本にはない。

このためJR東日本では新幹線特急料金減収分を補うべく2026年3月に運賃改定を行うとしている。

なおJR西日本は運賃改定をしない見込みのため北陸新幹線上越妙高~敦賀間のみの利用であれば通常期指定料金530円分の純粋値下げとなるが、大阪方面特急「サンダーバード」や名古屋方面特急「しらさぎ」との連絡特急料金は在来線特急側で座席指定料金を付せばよいので値下げする必要はない。このためJR西日本の北陸新幹線利用者の8割以上は運賃料金は据え置きとなる見込みだ。




新幹線内で通年同額指定席料金とシーズン別指定席料金の混在状態発生か

既得権益ですでに全車指定席化を達成している東北新幹線「はやぶさ」「こまち」および北陸新幹線「かがやき」については値下げする必要はない。これらの列車の値段を据え置くなら最繁忙期・繁忙期・閑散期のシーズン別400円増~200円引きを適用するはずだ。


結び

2026年3月JR東日本ダイヤ改正では、運賃値上げと引き換えに新幹線特急料金を通常期で530円値下げすることにより全便全車指定席化を図る可能性がある。

新幹線特急料金をなかなか引き上げられない中、新幹線でそのような運賃料金体系を導入するのか、そしてどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。

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