東海道「こだま」も所要時分短縮 東海道新幹線ダイヤ改正(2017年3月4日) パターンダイヤ・こだま待避表付き

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JR東海は、12月16日、2017年3月4日にダイヤ改正すると公表した( http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000032473.pdf )。当サイトではその後2017年3月4日ダイヤ改正について記事を書いたが( http://diagramstudygroup.seesaa.net/article/444994453.html )、その後複数の方から「こだま」についてご指摘を受けたため、再検証することとする。今回は東海道新幹線のうち「こだま」を中心に見ていく。
※「のぞみ」「ひかり」については後日記事にします。

2017年3月4日ダイヤ改正まとめはこちら!

1. 「こだま」の待避本数、2本減

今回2017年3月4日のダイヤ改正で全ての「ひかり」がN700系化され、後続の「のぞみ」と合わせて東海道新幹線で3分の時間短縮に成功した。しかしここで問題が発生する。「ひかり」が3分短縮されると、「こだま」と新大阪でバッティングしてしまうという矛盾が生じた。そこで東海道新幹線の改正後時刻が公表されるJTB時刻表2017年2月号発売直前にtwitterでアンケートを行った。

ここでのアンケートの結果では、上のように「岐阜羽島と米原での待避本数がそれぞれ1本減少」が多くなっています。アンケートにご協力いただいた方々、ありがとうございました。
実際に1月21日発売のJTB時刻表で確認すると、岐阜羽島と米原での待避本数がそれぞれ1本減少し、「のぞみ」13本と「ひかり」2本に抜かれることとなったり、東京~新大阪間の「こだま」の所要時分が10分短縮し3時間54分となった。ただこれだけでは済まない。実は今回のダイヤ改正で待避パターンが「のぞみ」が最大毎時9本でしか設定できなかった2014年3月14日までの水準にほぼ戻ったのである。所要時分と待避本数は3年前の水準にほぼ戻ったが、細かいところを見ていくと異なる点がある。それは東京毎時10分発「のぞみ」の待避箇所が2014年までの米原ではなく岐阜羽島に変更されたことだ。これは2015年3月のダイヤ改正でこの「のぞみ」が285km/h運転を開始したことに伴い3分短縮されたことによるものである。このほか、3年ぶりに下りの掛川と上りの浜松での「こだま」発車時刻が待避の関係で毎時で揃わなくなった(2時間パターン化)が復活した。ということで今回改めて表に「こだま」待避順序について見ていく。




2. 「こだま」のN700系運用の増加と700系固定運用の解除化か

今回のダイヤ改正プレスでは、「ひかり」の全N700系化に加え、「こだま」のうち2本がN700系化すると記されていた。JTB時刻表を開くと、三島6時26分発「こだま800号」東京行き初電および、東京22時47分発「こだま809号」三島行き終電が700系からN700系に変更された。N700系化すると起動加速度と最高速度、カーブ通過速度の違いから1駅あたり1分程度短縮できるが、2016年3月26日ダイヤ改正のような初終電の繰り下げ・繰り上げは今回は行わず、万が一の際700系に代用できるようにしているようだ。

またこれまで700系のみ運用だった「こだま」にも変化が生じている。これまで「こだま」はN700系運用のものは年中N700系運用だし、700系運用の「こだま」は年中700系運用であった。しかしJR東海のN700系導入に伴う700系廃車が進み、これまで700系しか運用してこなかった「こだま」が一部の日だけN700系でも運用されるようになった。その一部の日は2017年3月4日~6月30日の時刻表では、春休み3連休やゴールデンウィーク期間中が多い。これは700系をできるだけ「のぞみ」に投入することにより台車寿命をできるだけ短くし、N700系の寿命をできるだけ延ばすという目的があるのではなかろうか。




ではなぜそのようなことをするのか。ものには法定耐用年数が定められており、電車は新幹線でも在来線でも13年と定められている。13年たたずに廃車してしまうと損失として計上され、経営に悪影響を及ぼす。では実際の寿命はどうか。在来線の場合ステンレス車で50年物の車両もあるが、新幹線の場合はJR西日本の500系が今のところ現存する車両の中では一番寿命が長いのではなかろうか。1996年に登場し全廃される噂もないまま21年運行している。しかしことに高速鉄道は技術革新が目覚ましく、特に列車密度が高い東海道新幹線は新しい技術が入るたびに新型車両に反映させている。そしてその新技術を本領発揮させるためには古い技術の車両を淘汰するほかない。そのためJR東海では法定耐用年数13年を過ぎた新幹線車両はなるべく早く廃車にしている。

しかし法定耐用年数を超えて運行する車両は新幹線を含めて多く存在している。はっきり言って勿体無いのである。法定耐用年数で廃車にするならなおさらできる限り古い車両の台車を使い切りたいし、新しい車両は温存しておきたい。概ね車両の台車は走行距離に比例して摩耗するため、時間当たりの走行距離が長い方が摩耗しやすくなる。つまり「こだま」より「ひかり」、「ひかり」より「のぞみ」の方が摩耗する。とはいえ所要時間短縮は需要の高い列車ほど高い経済効果をもたらすため、定期「のぞみ」から全N700系化し、今回2017年3月のダイヤ改正で全「ひかり」もN700系化した。残るは「こだま」の一部と臨時「のぞみ」しかない。これまでは「ひかり」で多く運用することにより「こだま」を東京~新大阪で運行する時間とほぼ同じ時間で東京~岡山間を往復できたため比較的効率よく台車を摩耗させることができたが、それができなくなってしまった。となれば臨時「のぞみ」で700系運用を増やすほかなく、さらに効率的に台車を摩耗させるために定期「こだま」の700系運用を繁忙期に限りN700系にし、より臨時「のぞみ」に700系を運用させようとしているのである。じゃあ「こだま」も全N700系化すればいいのではないかというとそれもまた違う。一番台車を摩耗させないのは、運行自体を減らすこと。臨時「のぞみ」は運休日があるので、運休日は「こだま」の方が台車を摩耗させるのに効率的なのだ。そのためほぼすべての臨時「のぞみ」が運用される繁忙期のみN700系運用となる定期「こだま」が今回2017年3月4日のダイヤ改正で導入されたのだろう。

またJR東海にはN700系の台車の摩耗をできるだけ抑えたいという意図がある。N700系は2007年7月1日から運用が開始された車両であるが、当初「のぞみ」が東海道新幹線内で最大毎時8本しか設定できなかったものを毎時10本にまで拡大させるために2007年~2011年度は毎年16編成導入されてきた。これは近年700系置き換え目的で導入されている毎年6~7編成を上回るもので、年最大12編成を製造した300系新幹線の置き換え用としてもお釣りが出る。この際はN700系という技術がかなり高かったためか、700系を追加投入することなく既存の300系新幹線が15年程度運用され、N700系が運用開始した瞬間廃車が始まっている。つまりJR東海は「のぞみ」大増発を実施した2003年10月から2007年まで約4年余りの間新幹線車両を廃車しなかったことになる。その4年間廃車にしなかった分の置き換え用&臨時列車増発用として5年連続16編成導入という大量導入を成し遂げたのだと思われる。

しかし東海道新幹線もこのままの運行本数で営業し続けるわけではない。なぜなら2027年にリニア中央新幹線が品川~名古屋間で開業するためである。そのため対関西・山陽アクセスとして名古屋発着「のぞみ」の昼間での設定も考えられ、東海道新幹線の東京~名古屋間で減便することは間違いない。JR西日本内はリニアが開業してもほぼ変わらないだろうが、JR東海からすれば2027年のリニア開業直後に大量廃車を出したいのである。2020年からN700Sが導入開始されるが、リニアの開業を見据えての導入となるはずなのでN700系のように毎年16編成導入ということにはならないはずで、N700系をできる限り2027年まで使用したいはずである。2007年度投入分はさすがに2027年まで運用すると20年となるのでやや厳しいが、2009年~2011年度投入分であれば16~18年なのでなんとか持つと踏んでいるのだろう。その車両寿命を延ばすためには今のうちから台車を大切に使用したくなるのは必然ではなかろうか。




3. 結び

今回のダイヤ改正では、プレスでは「のぞみ」と「ひかり」を中心に取り上げていたが、今回は「こだま」にも大きな変化があった。2020年3月ダイヤ改正時には昼間の「こだま」の大幅な時間短縮が見込めるので、今後「こだま」がどのようなダイヤを組んでいくのか見ものである。


付録. パターンダイヤと待避パターン、初電終電時刻

今回2017年3月4日から、東海道新幹線内のダイヤパターンが変更となるため、一覧に付す。

付録1. ダイヤパターン

【2017年3月4日以降】下り

東京発毎時時刻(分) 00 03 10 13 20 23 26 30 33 40 47 50 53 56
種別 のぞみ ひかり のそみ のぞみ のぞみ のぞみ こだま のぞみ ひかり のぞみ のぞみ のぞみ のぞみ こだま
運行頻度 定期 定期 定期 僅少 多頻度 僅少 定期 定期 定期 多頻度 僅少 定期 僅少 定期
その他 新大阪止 岡山着
静岡・浜松停車
博多着 博多着 新大阪止 新大阪止 名古屋止 博多着 新大阪止
岐阜羽島・米原停車
博多着 新大阪止 広島着 新大阪止 新大阪止
新大阪着毎時時刻(分) 33 00 40 46 53 56 03 26 13 20 23 30 50
東京~新大阪間所要時間 2時間33分 2時間57分 2時間30分(昼間最速) 2時間33分 2時間33分 2時間33分 2時間33分 2時間53分 2時間33分 2時間33分 2時間33分 2時間37分 3時間54分

【2017年3月4日以降】上り

新大阪発毎時時刻(分) 30 16 40 46 50 56 03 43 10 53 13 20 23
種別 のぞみ ひかり のそみ こだま のぞみ のぞみ のぞみ のぞみ ひかり のぞみ こだま のぞみ のぞみ のぞみ
運行頻度 多頻度 定期 定期 定期 僅少 定期 僅少 定期 定期 多頻度 定期 僅少 定期 僅少
その他 博多発 新大阪発
米原・岐阜羽島停車
博多発 名古屋発 新大阪発 新大阪発 博多発 博多発 岡山発
浜松・静岡停車
新大阪発 新大阪発 新大阪発 広島発 新大阪発
東京着毎時時刻(分) 03 10 13 16 20 23 30 33 40 43 47 50 53 56
新大阪~東京間所要時間 2時間33分 2時間54分 2時間33分 2時間34分 2時間33分 2時間34分 2時間30分(昼間最速) 2時間57分 2時間33分 3時間54分 2時間37分 2時間33分 2時間33分

付録2. 待避パターン

東海道新幹線こだま退避表
数字は東京毎時着発時刻(分)を表す。 例:10→東京毎時10分発(着)の列車
数字のみの場合は「のぞみ」。定期・多頻度・臨時の区別は付録1.のダイヤパターン参照
/(スラッシュ)は2本抜かされることを指す。 例:30/33ひかり豊橋停車→東京毎時30分発(着)の「のぞみ」と東京毎時33分発(着)の「ひかり」が豊橋停車時に抜かれる
今回のダイヤ改正では、下り26こだまと上り17こだまには変化は見られない。
下り 名古屋・新大阪方面

下り東京発時刻毎時 26こだま 56こだま
東京 始発 始発
品川 なし なし
新横浜 なし なし
小田原 30/33ひかり豊橋停車 00/03ひかり
熱海 なし なし
三島 33ひかり小田原停車/40 10/13
新富士 47/50 20/23
静岡 53/00 なし
掛川 なし 30/33ひかり豊橋停車
浜松 10/13 33ひかり小田原停車/40
豊橋 20/23 47/50
三河安城 03ひかり/30 53/00
名古屋 終着 なし
岐阜羽島 10
米原 13
京都 なし
新大阪 終着




上り 東京方面

上り東京着時刻毎時 17こだま 47こだま
新大阪 始発
京都 なし
米原 30
岐阜羽島 33
名古屋 始発 なし
三河安城 13/40ひかり 43/50
豊橋 20/23 53/56
浜松 30/33 03/10ひかり小田原停車
掛川 なし 10ひかり豊橋停車/13
静岡 43/50 なし
新富士 53/56 20/23
三島 03/10ひかり小田原停車 30/33
熱海 なし なし
小田原 10ひかり豊橋停車/13 40ひかり/43
新横浜 なし なし
品川 なし なし
東京 終着 終着

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